住友化学工業

CHEMNET TOKYO

2009年01月27日
ダウ、Rohm and Haas の買収を延期
【カテゴリー】:海外
【関連企業・団体】:なし

 1月23日にFTCはDow と Rohm and Haas (R&H) の統合を条件付で承認、全ての条件が満たされ、27日には買収を実施することとなっていた。
 既報 http://www.chem-t.com/cgi-bin/passFile.php?NCODE=25965

 しかし、ダウは26日、R&H に対して, 27日には買収を実施しないと伝えたことを明らかにした。金融・経済危機による状況の悪化とクウェートのPICとの合成樹脂JV計画の破綻を理由に挙げた。

 ダウの R&H 買収資金は188 億ドルだが、同社はこれを、つなぎ融資 130億ドル、著名な株式投資家 Warren Buffett のBerkshire Hathaway Inc. からの投資 30億ドル、 Kuwait Investment authorirty からの投資10億ドルで賄うことにしており、PICとのJVへの事業売却資金でつなぎ融資の一部を返済する予定であった。

 ダウはPICとの合弁会社 K-Dow Petrochemicals 設立により、事業売却額マイナス出資で75億ドル、配当15億ドルで、合計90億ドル(税引後では70億ドル)を受け取ることとなっていた。PICとのJV計画の破綻で、これが入手できなくなった。


 つなぎ融資はあくまでもつなぎであり、他のソースから資金を得ずにはR&Hの買収が出来ないこととなる。

 PICの代わりを見つけるか、他の事業を売却するかが考えられるが、これには時間がかかる。銀行との交渉で、つなぎ融資を1〜2年のローンに切り替えるのではないかとみられている。

 R&Hは1月26日、契約の履行を求め、Delaware州の裁判所にDow を訴えた。


ダウ・ケミカルは、英文の発表文の抄訳を以下の通り発表した。

ローム・アンド・ハース買収の経過に関するお知らせ(抄訳)
米国東部時間2009年1月26日、ザ・ダウ・ケミカル・カンパニー(本社:米国ミシガン州、ダウ)は、提案されている買収について、2009年1月27日以前に完了することはない旨をローム・アンド・ハース(本社:米国ペンシルベニア州、R&H )に通知したことを正式に認めました。

ダウは、最近の重大な展開によって結合企業の資金調達及び経済性に受け入れがたい不確実性が引き起こされていると判断しました。これは、世界金融市場における継続的な危機や2008年12月末にクウェートのペトロケミカル・インダストリーズ・カンパニー(PIC)がK-ダウ合弁会社の設立を完了する義務を履行しなかったことなど、さまざまなマクロ経済要因に基づいて評価したものです。

会長兼CEOであるアンドリュー・N・リバリスは、「当社の長期戦略に変わりはなく、提案されているR&H の買収はこの戦略に従ったものです。」と述べました。ダウは、12月末にPIC がK-ダウの設立に関する取引を完了できなかったことから、R&H との取引を成立させる方法を模索し多角的に積極的な取り組みを続けてきました。ダウは R&H の買収を完了させる解決策を見いだすべく協議を続けていきたいと考えておりますが、最近の出来事により現段階では完了に至っておりません。(後略)





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