2009年05月13日
広まる傾向の廃プラの焼却発電志向、プラ協の実態調査で浮き彫りに
【カテゴリー】:環境/安全(行政/団体、原料/樹脂/化成品)
【関連企業・団体】:プラスチック処理促進協会

 一般家庭から収集した廃プラスチックを容リ法に頼ることなく独自に処理する自治体が増える傾向にある点が関係各方面で注目されているが、そうした自治体の中で廃プラを高効率焼却発電施設で処理するところが少なくないことがプラスチック処理促進協会の実態調査によってこのほど明らかとなった。廃プラ処理の在り方について関係者に再考を促す動きとも言え、今後の行方に関心が集まりそうだ。
 
 現在、廃プラの多くを占めるその他プラスチック製容器包装については、容器包装リサイクル協会が全国の市町村から分別収集品を引き取ってリサイクルに回している。しかし平成19年度を例に取ると、全国の市町村が一般家庭から分別収集した644,000トンのうち同協会に引き渡された量は581,000トンにとどまっている。およそ10%は、市町村が独自に処理していることになる。

 同協会では、過去1〜2年の間に廃プラの処理方法を独自処理に切り替えた合計5ヵ所の自治体を訪問して実態を調査したところ、四つの自治体が容リ法対象以外の廃プラも含めて新鋭の焼却発電施設で処理していることがわかった。残る一つの自治体は、可燃ごみとして収集して単純焼却していた。

 今回調査の対象に取り上げたのは、弘前市、鹿屋市、富山市、鹿児島市、北秋田市の計五つの自治体。弘前市と鹿屋市は、平成20年4月から容リルートから全面的に離脱。容リ法の対処となっているその他プラ製容器包装にとどまらず全ての廃プラを焼却発電施設で処理するようにしている。

 また富山市と鹿児島市は、18年から19年にかけて容リ法対象以外の廃プラの処理をそれまでの埋め立て法から焼却発電方法に切り替えている。

 北秋田市は、これまで不燃ゴミとして収集して中間処理したうえで焼却してきた廃プラを、18年6月以降は容リ法対象のその他プラ製容器包装と非容リ法対象プラとに分けて前者を容リ協に引き渡す一方で後者は単純焼却して処理するようにしている。

 北秋田市を除く4市は、埋め立て処分場の延命が図れる点や財政面での優位性を考慮してごみ発電の資源として廃プラを活用していくことにしたもの。

 最近は、汚れの付着や異種材料との複合を極端に嫌うマテリアルリサイクル手法の限界が改めてクローズアップされている。それだけに焼却発電処理の動きが今後自治体の間に広がっていく可能性は十分ある。