2009年06月02日
三菱ケミカルHD 世界不況で中期経営計画「APTSIS10」を見直し
「水島地区エチレンセンター」旭化成と一体運営
【カテゴリー】:経営
【関連企業・団体】:三菱ケミカルホールディングス
小林喜光社長

 三菱ケミカルホールディングスの小林喜光社長は2日の会見で、2012年を目標とする中期経営計画「APTSIS10」について基本戦略を含めて見直したことを明らかにするとともに、旭化成との間で「水島地区のエチレンセンターの統合」について検討を進めていることを正式に発表した。

■中計大幅見直し「構造改革」加速
 中期経営計画「APTSIS10」の見直しは、未曾有の世界不況により経営が大打撃を受けたことに対応したもので、基本戦略についてコンセプトから見直した。これまでの「成長を実現し、創造・飛躍する」を「大収縮に即応し、構造改革、創造・飛躍を加速する」に改めた。
  
 具体的には、集中事業への重点化、設備投資の圧縮、白色LEDやHEV用リチウムイオン電池材料に重点化・加速させるとした。設備投資・投資額の絞込みでは、08-10年度の3ヵ年で当初計画の5900億円を3800億円とし、R&D費用も4250億円から4070億円に削減してて重点化をはかる。

 石化事業の再構築では、(1)10年5月にパラキシレン(水島)、同12月にテレフタル酸(松山)のプラント停止・国内事業撤退、11年3月に塩ビ事業(PVC,電解・VCM)のプラント停止・事業撤退、11年3月にSM(鹿島)プラント停止・事業撤退、10年3月にラクタム・ナイロン事業(水島、黒崎)撤退(2)中国でシノペックとの戦略的提携による拡大市場への展開を加速する。今後、機能商品分野の事業、技術・人材交流,物流などあらゆる分野で提携を検討する(3)東南アジア・インド・中東ではアライアンスの検討と海外拠点整備、欧州では高機能製品のグローバル事業拡大—に取り組む。
 
■水島地区エチレンセンターを一体運営
 一方、旭化成との間で検討している「水島地区のエチレンセンターの統合」については、
(1)来年4月をメドに共同出資会社を設立し、両社の水島地区のエチレンセンターを一体運営する
(2)3年以内をメドに水島地区のエチレンセンターの最適化をはかるが、設備の統合形態は現時点で未定
(3)両社の石油化学誘導品は検討の対象外で、各社で最適な生産バランスを検討するーとしている。