2001年04月10日
出光ユニテック、18リットルラミネート缶用PE系多層フィルムを本格販売
今年度100トン超の販売目指す
【カテゴリー】:原料/樹脂/化成品
【関連企業・団体】:出光ユニテック

 出光ユニテックは10日、共押出多層フィルム「ユニラックス」の新製品で、18リットルラミネート缶用ポリエチレン系多層フィルム「ユニラックスLS-765C」を正式に上市、本格販売する、と発表した。ラミネート鋼板メーカーのラミネート工業と共同開発を進めていたもので、今年度100トンを超える販売を目標としている。
 同社は、ポリオレフィン系のTダイキャスト法による多層共押出(CPP)フィルム「ユニラックス」として、パンや麺などの単体包装から、液体充填包装用、レトルト包装用シーラントまで広範な分野で展開、現在千葉工場(千葉県山武郡九十九里町)に年産2万トンの生産能力を有している。
 今回本格販売を開始するLS-765Cは、C8系の特性を活かし、金属側に低融点のLLDPE(直鎖状低密度ポリエチレン)、中間層と内容物側には比較的密度の高いLLDPEを用いた3種3層構造となっており、溶剤や接着剤を使わない熱融着方式により、鋼板へのラミネートを実現、強度と安全性に配慮した製品。従来業務用金属缶である18リットル缶では、金属剥き出しの無地缶やエポキシ系塗料を塗布したコート缶が一般的に用いられてきたが、ここ数年は環境に対する消費者意識の高まりから、無溶剤化、また内容物への安全性重視などのニーズが強まっており、ラミネート鋼板を用いた内面ラミネート缶の需要が高まりつつある。
 LS-765Cの特徴は、(1)ラミネート缶用内面ラミネートフィルムとして必要な物理的強度を満たす、(2)缶内容物や鋼板表面の安全性が向上、(3)低価格化、の3点。(1)については、金属面との熱融着性が高いだけでなく、フィルム同士も熱融着するため、シール強度が高く、製缶時の接合部強度を高めることができる。(2)は、内容物側の樹脂層に有機系添加剤を含まず、また特殊ポリエチレンの採用により、防湿性と耐浸透性を向上させるなど、安全面に配慮した設計で、食品、添加物等の規格基準(厚生省告示第370号)に適合、米FDA(食品医薬品局)の基準にも準拠している。(3)については、競合製品のように金属接着性を高めるために変性などを行っていないため、原料コストを低減、20~30%の低価格化を実現している。
 18リットル缶の国内需要は、現在2億缶規模で推移しており、今後大きく増える見通しは無いものの、この中でラミネート缶の比率は5%を占めるようになっており、今後10~20%まで高まると期待されている。これらに加え、現在10数社が内容物への適性試験を進めていることから、同社では洗剤や食品分野を中心に、今年度100トン以上、4,000~5,000万円の販売を見込んでいる。現在のところ同製品を用いたラミネート鋼板は、共同開発先のラミネート工業が有している技術がなければ製品化は困難と見られているが、製鉄メーカーなどからも問い合わせがあることから、技術的な問題をクリアし製品化できるところがあれば同フィルムの供給を検討していく考え。