2010年09月21日
地球快適化インスティテュートなど3者、豪州で「節水型農業技術」開発へ
【カテゴリー】:経営(新製品/新技術)
【関連企業・団体】:三菱ケミカルホールディングス

三菱ケミカルホールディングスの研究機関として09年4月発足した、地球快適化インスティテュート(本社:東京都港区、小林喜光社長)は21日、豪・ビクトリア州政府および新規農業システムの開発会社、メビオール(本社:神奈川県平塚市、森有一社長)の3者が共同し、ビクトリア州で「節水型農業技術」の実証試験を行うことに合意したと発表した。

地球快適化インスティテュートは、21世紀の人類が直面している諸問題の解決を目指して、環境・資源・エネルギー、水・食糧、健康の3分野を中心に、調査・研究を推進している。

また現在、日本を含めて、世界中の水の約70%が農業用水として使用されており、将来、気候変動や人口増加により、水不足が深刻化しつつある。

とくにオーストラリアは、度重なる干ばつなど、慢性的な水不足問題を抱えている。地球快適化インスティテュートは、メビオールが開発した、膜を活用した新規栽培システム(アイメック)に着目し、3者共同で「節水型農業技術」の研究を推進することにした。

ビクトリア州では、すでにアイメックによるトマトの栽培実証試験を開始しており、水の使用量を最大限削減するだけでなく、トマトの味や栄養成分向上にも期待が高まっているという。


<用語の解説>
■アイメック :
アイメックとはハイドロゲルからなる膜、「ハイドロメンブラン」(アイメックフィルム)によって作物と養液を隔離して栽培する技術。植物は菌・ウイルスを排除する膜上に根を張り、膜中の水と養分を浸透圧によって吸収するため、糖・アミノ酸などを大量に産生し高栄養化する。アイメックでは水や肥料の排出がなく、安全、安心、高栄養価の作物を必要最小限の水と肥料で生産することができる。メビオールではアイメック特許を世界127カ国に出願、すでに日本をはじめ20カ国以上で特許が成立している。

【メビオール株式会社の概要】
1995年設立、早稲田大学発のバイオベンチャー企業。「水を制御する先進高分子技術によって、人の暮らしをより豊かに」をモットーに、ハイドロゲル技術、膜技術を使い省資源、省エネルギー下で植物を効率生産する技術を開発し、食糧、水、温暖化問題の解決を目指す。06年にはNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)から同社の「農産物に生体機能調節物質を付加する技術の実用化」が助成事業として採択された。


ニュースリリース参照
http://www.chem-t.com/fax/images/tmp_file1_1285051472.pdf