2011年12月08日
小林三菱ケミカルHD社長「成長事業拡大に意欲」
【カテゴリー】:経営
【関連企業・団体】:三菱ケミカルホールディングス

三菱ケミカルホールディングスの小林喜光社長は8日記者会見し、中期経営計画「APTSIS 15」初年度の進捗状況を説明した。この中で成長事業拡大に強い意欲を示した。

内外事業環境については「環境、資源、人口・途上国問題など、世界は大きな転換点を迎えている」と指摘、「日本企業はグローバル市場でフェアな戦いをしていく上で、税制や為替、通商政策(TPP対応など)、各種規制、原料コスト、電力コストなど“7重苦”に阻まれている」と強調した。

また、企業としてのグローバリゼーションへの取り組みでは(1)他との差異化が難しくなる(2)資源の獲得(希土類、石油など)(3)ボーダレス化する中でスピードある対応の必要、などの課題をあげた。

三菱ケミカル・グループとして今後注力していく「成長事業・創造事業」は(1)炭素繊維・複合材料(2)高純度グラファイト(3)白色LED照明/部材(4)リチウムイオン電池部材(5)ヘルスケアソリューションの5事業で、いずれも将来に高い成長が見込まれるとしている。

中でも炭素・複合材事業は、70年以上のこれまでの歴史を活かし「新炭素素材」の開発に注力する方針。期待される産業用途として自動車、風力発電、航空機、スポーツレジャーなどの分野をあげ、「炭素繊維の世界需要は2015年には約7万トンと10年比2万5000トン増加する」と予測、積極的に新規需要を取り込む。

リチウムイオン電池部材は、すでに主要4部材すべてを持つ世界有数メーカーの地位にあるが、「引き続き市場拡大に対応したグローバル展開を着実に実施していく」と力を込めた。

国内と海外を合わせた4部材の2015年4Qまでの目標年産能力(カッコ内は2011年2Q現在)は以下の通り。
◇電解液  :50,000トン(8,500トン)
◇負極材  :35,000トン(7,000トン)
◇正極材  :15,000トン(2,200トン)
◇セパレーター  :7,200トン(1,200トン)

なお、事業再編では08年度から11年度にかけてSMチェーン、塩ビ、ナイロン、界面活性剤、テレフタル酸、ポリプロピレンなどの事業から撤退ないし再構築を実施してきた。売上高は1500億円減少したが、逆に収益は約130億円向上したという。