2011年12月14日
クレハとクラレ、LiB向け負極材共同事業化、「植物由来」新開発
【カテゴリー】:経営(新製品/新技術)
【関連企業・団体】:クラレ、クレハ
握手する各社首脳

クレハとクラレの両社は14日、リチウムイオン電池(LiB)負極材「ハードカーボン」事業の新たな展開として、植物由来原料の新規開発品「バイオカーボトロン」を共同事業化することで合意したと発表した。来春をめどに、クレハと伊藤忠商事と合弁の電池材料事業会社、クレハ・バッテリー・マテリアルズ・ジャパン(KBMJ)に、クラレが資本参加する。

KBMJとクラレケミカルが生産合弁会社を設立、2013年には年産1000トン規模のバイオ・ベース負極材製造設備を備前市鶴海(岡山県)にあるクラレ工場内に建設する。

クラレは活性炭事業を通じて得た知見をもとに新規ハードカーボンの開発に取り組んできた。原料には、コーヒー殻をはじめヤシ殻、大豆、トウモロコシなどあらゆる種類の植物が利用でき、選択肢が広い。再生産可能なため供給に安定性が確保できる。コスト的にも天然黒鉛など他の素材製品に十分な競争力を持つなどの特徴がある。

生産設備は、2015年には国内の他の用地に3000トン増設して合計能力を4000トンとする方針である。

石油ピッチ系負極材メーカーのKBMJは、クラレの経営参加により商品開発力や安定供給体制が強化する。2015年には生産能力を4000トンに拡大し、植物系と合わせて年産8000トン体制とする計画である。

【岩崎隆夫・クレハ社長】
KBMJは10月に営業開始したばかりだが、石油ベースとバイオ・ベース両方のカーボンを持つことによって、デザインできる範囲が非常に広がった。この分野の事業は先行きも明るいが、それだけ競争も国際的に激しくなる。大きな資本投下が必要だし、技術開発のスピードもあげていかないといけない。両社が協力してキャッチアップできるのは心強いことだ。

【伊藤文大・クラレ社長】
世界的な課題である資源、環境、水、食糧問題などに対して解決策を提案していくというのが当社の基本理念だ。クラレケミカルが開発してきた電池素材は技術的には十分いけそうだと思ったが、事業化していくには評価能力や販売ルートなど多くの問題があった。そこで昨年末岩崎社長に相談した。わずか1年で、よくここまできたとうれしく思っている。

ニュースリリース参照
http://www.chem-t.com/fax/images/tmp_file1_1323843100.pdf