2014年06月09日
小林三菱ケミカル社長「グループ内シナジー最大限発揮」
【カテゴリー】:経営
【関連企業・団体】:三菱ケミカルホールディングス
小林喜光社長

三菱ケミカルホールディングスの小林喜光社長は9日記者会見し、中期経営計画(APTSIS 15 Step2)の進捗状況を説明した。

まず、国内外の事業環境と業績推移について同社長は「海外事業の売上高は拡大し、13年度の海外売上高比率は40%に達したが、営業利益で見るとリーマンショック前まで半分近くあった海外比率は13年度には6%と急激に低下した」と説明。その下押し要因として「テレフタル酸、フェノール・PCチェーン事業の中国を中心とする世界的なオーバーサプライによる採算性悪化」を挙げた。また、MMAチェーンの北米での能力増強の立ち上げの遅れによる機会損失とコスト増加も響いたと分析した。

2014年度の予想は売上高3.5兆円、営業利益1,360億円。中計の15年度目標(売上高4.3兆円、営業利益2,600億円)をかなり下回るが「計画の見直しをするか」との質問には「見直しはしない。それよりまず、やるべきことをやろうということだ」ときっぱりした口調で答えた。

事業別状況については、ポートフォリオによる4象限を「安定事業」「促進事業」「変動事業」の3つに分け、必要な施策を講じるとした。

医薬品やMMA/PMMA、ポリエステルフィルム、PVOH/EVOH(光学用樹脂)など高機能製品で構成する「安定事業」は、2015年度の営業利益目標が2,250億円(14年度予想は1,550億円)。「現時点では目標達成へのハードルは高い」とした。とくに医薬品はジェネリック医薬品の浸食が予想を上回るため、2015年度業績予想の下方修正を余儀なくされた。ただ、タイでの新規メタクリル酸(MMA)設備、中国蘇州でのポリエステルフィルムなどが稼働開始し本格化するプラス要因もある。

また、将来に成長が見込める「促進事業」は、営業利益目標を100億円に置いた。「一部事業は市場の立ち上がりの遅延により、目標達成は厳しい状況にある」。ただ、サステナブルリソース事業のPBSのタイ合弁事業が2015年7-9月に立ち上がる。炭素繊維・複合材料分野も急成長する産業用途での事業規模拡大ま見込める。これらの事業強化に注力する。

再編・再構築すべき分野の「変動事業」は、営業利益目標は200億円だが「石化基礎原料、ポリオレフィンは設備集約化などの構造改革が進み、収益は改善する。課題のテレフタル酸事業にも抜本的対策を講じる。収益の上振れを目指す」とし、500億円を視野に施策に取り組む。

小林社長は「三菱ケミカルホールディングスには、6番目の事業会社として大陽日酸が参加する。グローバルにシナジーが展開できる意義は大きい。グループ内での協奏と成長モデル構築によりさらなる発展をめざす」と強調した。