2000年10月19日 |
AN需給ショート化進む、市場に危機感強まる |
タイトに推移していた昨年と比べても、6~7%供給量喪失 |
【カテゴリー】:海外 【関連企業・団体】:DSM、旭化成、デュポン、三菱レイヨン |
AN(アクリロニトリル)は相次ぐ大型定修で一部で玉繰りに困難な状況が出るなど、需給ショート感が一段と強まっている。 日本では旭化成が川崎製造所の年産15万トン設備の定修を11月中旬まで実施中だが、11月からは水島製造所でも1ヶ月間、年産5万トン分をMAN製造のためAN生産を一時的に取りやめる。さらに三菱レイヨンが大竹工場の年産8万6千トン設備を9月中旬から今月末まで定修を行っており、国内では4Qは供給能力の3割弱が減少することになる。 一方、欧米でもBP、デュポン、DSMも定修を実施、全世界トータルでは4Q分として約8万トンの供給量が喪失することになり、この量は前年と比べると6~7%の喪失量になる。 メーカー筋では、昨年の同時期も一部メーカーの設備トラブルなどもあり需給のタイト化が進んだが、今年は昨年以上に供給量が減少、市場に危機感が広がっている。 実際、こうした状況からアジアのメーカーを中心に適正在庫を持つメーカーはほとんど無いと見られており、一部のメーカーでは供給に支障が出始めている。 一方、計画されていた新増設についても、台湾ではFPCがエチレンプラントの立ち上げを行ったものの、AN設備(年産20万トン)については廃水処理の問題からフル生産に持っていくのにはしばらく時間がかかるものと見られており、4Qの生産量は3万トン弱になるものとされている。米国のソルーシア(年産25万トン)も計画から約2ヶ月遅れて今月下旬から生産を開始するが、4Qの生産量としては3万トン程度で、需給バランスの改善にはつながらないとの見方が支配的となっている。 |