2019年09月03日
理研、ダナフォームなど「遺伝子スイッチの挙動計測」
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:理化学研究所

理化学研究所 IFOMがんゲノミクス連携研究チームの村川泰裕チームリーダー、京都大学、ダナフォーム(理研ベンチャー)などの共同研究グループは3日、遺伝子の発現スイッチとして働く「エンハンサー」と呼ばれる非コードゲノム領域を高感度かつ一塩基レベルで検出し、さらに活性度を測定する技術を新たに開発したと発表した。

本研究成果は、個体発生などを制御する生体機構の解明につながるほか、次世代ゲノム医療に貢献すると期待できる。

エンハンサーには、さまざまな病気の発症に関連するゲノム変異が高度に濃縮されている。しかし、ヒトゲノムのどこに、どれだけの数のエンハンサーが存在し、どのように活性化されるかは不明だった。

今回、共同研究グループは、新しく合成されている最中の「Nascent RNA」に着目し、Nascent RNAを迅速かつ高純度で精製する生化学手法を開発した。そして、この技術とCAGE法を組み合わせた「NET-CAGE法」を確立し、がん細胞中に存在する約3万の活性化エンハンサーを高精細に同定、その活性化動態やトポロジー構造を解明した。
引き続き、がんの発生・維持の根本的な分子メカニズムを解明し、新しい治療標的やバイオマーカーの同定をめざす。

本研究は、国際科学雑誌「Nature Genetics」オンライン版(9月2日付:日本時間9月3日)に掲載される。