2019年11月29日
産総研、世界初・深海底メタンハイドレートの物性測定
【カテゴリー】:行政/団体
【関連企業・団体】:産業技術総合研究所

産業技術総合研究所は28日、次世代エネルギー源として期待されるメタンハイドレートについて、日本海上越沖で掘削採取された、塊状のメタンハイドレートの強さ(強度)や硬さ(剛性)を測定することに、世界で初めて成功したと発表した。

メタンハイドレートは、低温高圧下では安定しているが、常温大気圧下ではメタンガスと水に分解してしまうため、天然のメタンハイドレートの強度や剛性を測定するのは極めて困難だった。

産総研は、深海底の水圧を保持したまま採取されたメタンハイドレートの物性を評価する装置の開発を進め、今回、明治大学の協力を得て、採取した表層型メタンハイドレートの強度や剛性を測定する実験に成功した。

深海底の泥の中に埋まる塊状のメタンハイドレートの物性は、回収技術の検討や海底地盤の力学的安定性を評価する上で重要となる。


今回、研究に用いた天然メタンハイドレートは、2015年8~11月に日本海上越沖の水深約900mの地点で採取された圧力コアのサンプル。圧力コアは、約10 MPaの水圧を保持した状態で船上へ引き揚げられ、一度も減圧することなく専用の圧力容器に移された後、産総研北海道センターへ輸送された。これらの全行程で、温度・圧力がメタンハイドレートの安定条件を満たすよう管理された。

今回の研究成果は、深海底の資源開発及び環境評価へ重要な役割を果たすと期待される。