2020年05月21日
森川・石化協会長が挨拶「保安対策に成果、何より」
【カテゴリー】:行政/団体
【関連企業・団体】:石油化学工業協会
森川宏平石化協会長

 石油化学工業協会の森川宏平会長(昭和電工社長)は、7月2日の定時総会で任期満了となり、次期会長の和賀昌之三菱ケミカル社長に会長職を引き継ぐが、21日、「退任に向けて」として以下の通りメッセージを発表した。


◇ 退任に向けてのご挨拶と次期会長選考について ◇(全文)
  石油化学工業協会会長 森川 宏平
  
  
 新型コロナウィルス感染症で亡くなられた皆様に謹んでお悔やみ申し上げると共に、罹患されている方、つらい思いをされている全ての皆様にお見舞い申し上げます。また、日々、最前線で懸命に対応されている医療従事者の皆様、政府・自治体の皆様に心からの敬意と感謝を申し上げます。

 本年は、任期二年の当石油化学工業協会の改選期に当たります。2018年7月の会長就任以来、数多くの皆様に大変お世話になりました。心より御礼を申し上げます。
 来る7月2日に開催予定の「定時総会」においては、新会長が選出される予定であり、 次期会長として三菱ケミカル株式会社の和賀 昌之(わが まさゆき)代表取締役社長を推薦することになりました。

 私は会長就任時に協会として以下、三つの重要課題、「保安・安全の確保」、「事業環境の基盤整備」、「グロ-バル化対応の強化」を掲げて取り組んでまいりました。

(1)「保安・安全の確保」
 「保安に関する経営層の強い関与」を重要視し、保安に関するトップ懇談会、事業所長の保安に関する意見交換会を実施しました。「安全文化の醸成」としては、保安推進会議・保安表彰式、保安研究会、産業安全塾等の開催により、保安の取り組みに関する情報や教訓の共有化、危険に対する感性の向上、保安分野の人材育成支援等を進めてまいりました。「産業保安に関するスマート化に向けた取り組み」として、IoT、AI等の最新技術についての会員各社向け勉強会開催や官民協同テーマ検討等に取り組んで参りました。かかる新技術につきましては、今後益々導入が進むと思われ、保安の向上、操業の安定化に寄与することを期待しております。これらの当協会の取り組みや会員各社の不断の保安衛生活動の成果もあり、会員各社のプラントにおいては、幸いにして、死傷者を伴う重大保安事故の発生は無く、今後もこのような状況の継続と、これに加えて軽微な事故件数の低減を望むとろこです。

(2)「事業環境の基盤整備」
 厳しさを増す我が国の石化産業が国際競争に打ち勝ち、持続的発展を遂げていくために、税制改正や規制改革の実現に取り組みました。第3次石環検「石油化学産業における環境整備検討会」の答申を受け、昨年12月に「今後の定期修理の在り方に関する報告書」をまとめあげました。

(3)「グロ-バル化対応の推進」
 アジア各国の石油化学産業の同業団体との相互のコミュニケーションの場としてマレ-シア、台湾におけるアジア石油化学産業会議(APIC)に協力参加しました。また、伸長著しい中国と日中化学産業会議を中国石油・化学工業連合会(CPCIF)、日化協との共催で毎年開催しました。交流を通して、同国の石化産業への取り組みの真剣さと技術的進化を肌で感じ、また、経済成長のみならず環境に対する意識の大きな変貌を目の当たりにし驚かされました。

 我が国経済は、新型コロナウィルス感染の影響により、厳しい局面に直面しております。今後の石油化学製品需要につきましては、一部に容器包材及び医療・ヘルスケア関連向分野での堅調さがみられますが、国内自動車生産の本格的な減産が実施されるなど、工業用途向分野の更なる低下が見込まれます。また、米中貿易摩擦の激化、原油・中東情勢等国際情勢も不確実性を増しております。新型コロナウィルス対応の特別措置法に基づく「緊急事態宣言」が徐々に解除されるとともに、国内経済活動が再開していくことが期待されるところでもありますが、依然、新型コロナウィルスの第二波リスクは残るなど、新型コロナウィルスとの共存が求められる時期がしばらく続くことが予想されます。

 このような状況にある中、安全で安定した国民生活を支えるためにも当業界における製品の安定供給は引き続き極めて重要と考えております。

 退任後の当協会の新体制における活動につきましても、引き続き皆様のご支援、ご指導を賜りますよう宜しくお願い申し上げます。 以上