2020年07月21日
産総研、「光でプラスチックの劣化診断」技術開発
【カテゴリー】:行政/団体
【関連企業・団体】:産業技術総合研究所

産業技術総合研究所は20日、近赤外光でプラスチック(ポリプロピレン)の劣化を診断する技術を開発したと発表した。自動車部品などに使用されているポリプロピレン(PP)の劣化の進行を非破壊、その場で診断できる。

各種のプラスチック部品メーカーには、製造ラインでの異常品検出につながる。マテリアルリサイクルに使用可能なプラスチック部品の選別技術としても貢献が期待できる。

製造物責任法の施行以来、材料メーカーには生産品の安全性や品質保証が求められ、製品の品質を担保し、適切に管理するための分析技術が必要となっている。

プラスチック部品は、金属に比べると劣化しやすく、品質保証が必要な場合は出荷までに何度も検査が行われ、コスト要因となる。従来、行われている引張強度試験は、強度は測定できても、品質や劣化を診断することはできず、非破壊で診断する技術は確立されていなかった。

今回開発した技術は、PPの光の吸収を数秒間測定するだけで、破断伸びを高精度に予測できる新しい診断技術。品質検査の作業が非破壊、リアルタイムでできる。PPにかぎらず、他のプラスチックの劣化診断にも適用できる可能性がある。


<用語の解説>

◆近赤外光 :800~2500 nmの波長の光。物質を透過しやすく、数ミリメートル程度の薄い試料には光を透過させて計測し、一方、数十ミリメートル程度の厚い試料では反射した光を計測することが可能なため、さまざまな厚さや形状の試料の近赤外スペクトルが測定できる。