2020年08月28日
理研、呼吸器の発生を担うメカニズム 解明
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:理化学研究所

理化学研究所、シンシナティ小児病院、京都大学の国際共同研究グループは27日、呼吸に必須な器官である気管が胎児の中で出現するプロセスを明らかにし、培養皿上でマウスおよびヒトの気管組織を作製する方法を開発したと発表した。

同研究成果は、胎児の中で内臓が作られる基本原理の理解に加えて、オルガノイドと呼ばれる臓器を模倣した3次元組織の開発の手がかりとなり、人工的な呼吸器の形成技術への応用が期待できる。

気管は、呼吸の際に空気の通り道となる組織で、しなやかで丈夫な管状構造は、主に軟骨や平滑筋を含む間充織に支えられている。

今回、共同研究グループは、遺伝子改変マウスを利用した解析により、受精後(胎生)9.5~10.5日の気管において、上皮細胞と間充織細胞の双方向のWntシグナルが気管の間充織を決定することを明らかにした。さらにこの発見をもとに、マウスおよびヒトのES細胞から気管間充織を誘導し、気管の軟骨細胞と平滑筋細胞を培養皿上で作製する技術の開発に成功した。

同研究は、オンライン科学雑誌「Nature Communications」(8月27日付)に掲載された。


<用語の解説>
◆Wntシグナル、Wntlessとは :Wntは、細胞外に分泌されるタンパク質(Wntリガンド)の一種。発生期に体軸や脳の形成に重要な役割を果たすことが知られている。自分自身あるいは他の細胞が産生したWntリガンドが細胞表面の受容体に結合すると、β-カテニン(Ctnnb1)などの細胞内シグナル因子を介して刺激が伝達される(Wntシグナル)。Wntlessは膜タンパク質をコードする遺伝子で、Wntの細胞外分泌に必須な細胞内輸送に関わる。