2020年09月16日
東大「トポロジー由来の巨大な磁気光学効果」発見
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:東京大学

東京大学大学院工学系研究科の高橋陽太郎准教授、理化学研究所の十倉好紀センター長、東北大学金属材料研究所の塚﨑敦教授らの研究グループは16日、磁性ワイル半金属と呼ばれる近年見つかった磁性体において、巨大な磁気光学応答の実証に成功したと発表した。

トポロジカル物質と呼ばれる一連の物質群では、特殊な電子構造に由来した新奇な電磁気応答が理論的に予測されており、次世代エレクトロニクス・フォトニクスへの応用展開が期待されている。こうした物質群では、電子はあたかも非常に大きな磁場がかかっているように振る舞い、巨大な異常ホール効果に代表される非自明な伝導現象が報告されている。その一方で、光学応答についても物質のトポロジーに由来した新たな現象の存在が期待されていた。

今回、研究グループは、強磁性でなおかつトポロジカル物質であるCo3Sn2S2において、トポロジカルな電子構造に関連した磁気光学応答の探索を行った。テラヘルツから赤外の広い光学領域において、高精度に磁気光学ファラデー・カー効果を測定した結果、この物質の磁気光学効果が、これまで観測されてきた通常の磁性体と比べてはるかに大きいことがわかった。

さらに、光学ホール伝導度スペクトルと第一原理計算との比較を行うことで、観測した光学応答がまさにトポロジカルな電子構造に由来していることを明らかにした。

今回得られた成果は、トポロジカル物質が一般的に大きな磁気光学効果を示すことを示唆している。今後、トポロジカル物質を利用した新しい光デバイスの開発につながることが期待される。

同研究成果は、9月15日(英国時間)、英国科学雑誌「Nature Communications」に掲載された。


<用語の解説>
◆磁性ワイル半金属 :
電子の持つ運動量によって電子状態を記述したものをバンド構造と呼び、2つのバンドが何らかの対称性によって交差しているものをトポロジカルな電子構造という。ワイル半金属は、このような電子状態を持つトポロジカル物質の1つであり、バンドの交差点(ワイル点)が対をなして現れる。


ニュースリリース参照
https://www.tohoku.ac.jp/japanese/2020/09/press20200914-01-big.html