2020年09月25日
神戸大、社会行動に脳細胞「ソーシャルセル」同定
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:理化学研究所

 神戸大学大学院 医学研究科の内匠透教授(医学研究科)らは、微小内視鏡を用いたCaイメージング法により、脳内島皮質に社会行動に関わる細胞「ソーシャルセル」を同定したと発表した。
 今後、社会行動の意思決定の神経ネットワークが明らかになることが期待される。

 この研究成果は、9月21日付けで、米国科学誌「 PLOS Biology 」電子版に掲載された。

 微小内視鏡を用いて、マウスの大脳島皮質に社会行動に関わるソーシャルセルを発見した。
「社会意思決定ネットワーク」における「社会性」と「情動性」モジュールのインターフェースとして島皮質が働いている。

 新型コロナウイルス感染拡大により、その予防法の一つとして、ソーシャルディスタンスの確保が推奨されている。ウイルス感染の観点からその物理的距離は2メートルとも言われているが、ヒトとヒトとの距離、社会的距離を隔てた交流、社会的相互作用はどのように決定されるのか。

 これらに関わる脳領域として、扁桃体、視床下部、中脳、大脳(前頭)皮質などが知られるが、内匠教授らはその詳細な神経ネットワークについて検証した。


<用語の解説>
◆島皮質とは:前頭葉、側頭葉、頭頂葉、基底核に囲まれた大脳皮質領域。組織学的には、前腹側部に顆粒細胞層を欠く無顆粒島、その後背側部に亜顆粒島、さらにその後背側部に全ての層構造が明確な顆粒島に分類される。前島部では行動発現、知覚、内受容、情動など認知機能に関する活動がみられる。


神戸大学ホームページ:
https://www.kobe-u.ac.jp/research_at_kobe/NEWS/news/2020_09_23_01.html