2020年10月09日
産総研、人工光合成で海水分解の反応選択性解明
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:産業技術総合研究所

産業技術総合研究所ゼロエミッション国際共同研究センター 人工光合成研究チームの佐山和弘 チーム長らの研究グループは9日、可視光に応答する酸化物半導体の光電極に太陽光を照射することで、食塩水や海水などの塩化物イオン(Cl-)を含む水溶液から低い電解電圧で水素と酸素を選択的に製造する人工光合成技術を開発したと発表した。

この光電極の表面のごく一部にマンガン(Mn)の酸化物を担持するだけで、副反応である塩化物イオンの酸化による次亜塩素酸(HClO)の生成が抑制されることを見出した。

光で応答する電極の一部をマンガンで修飾することにより選択的な酸素生成を達成した。

今回の成果は、光電極を用いた人工光合成技術による水素製造システムの実現のみならず、天然光合成系の酸素発生中心の進化の過程で「なぜマンガンが選ばれたのか」を解く一つのカギとなる可能性が示唆され、実用化・基礎研究の両方に大いに貢献することが期待される。

なお、詳細は、米国のCell Pressの学術誌「iScience」に10月9日(日本時間)オンライン掲載される。


ニュースリリース参照
https://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2020/pr20201009/pr20201009.html