2021年01月25日
理研など、V字型二重スリットで電子波干渉実験
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:理化学研究所

理化学研究所 創発物性科学研究センターの原田研上級研究員、大阪府立大学大学院の森茂生教授、名城大学理工学部の児玉哲司教授らの共同研究グループはこのほど、日立製作所の研究開発グループと共同で、新しく開発したV字型二重スリットを用いて、「波動/粒子の二重性」に関する実験を行い、電子の経路情報と干渉の発現の関係を明らかにしたと発表した。

同研究成果は、量子力学が教える波動/粒子の二重性の不思議の実証を一歩進め、電子の伝搬経路と干渉との関係の解明に貢献すると期待できる。

研究グループは今回、ホログラフィー電子顕微鏡の結像光学系と電子波の干渉装置である電子線バイプリズムを利用して、V字型二重スリットを焦点の合った(伝搬距離ゼロ)干渉条件で観察することに成功した。

これにより、粒子として検出された電子の経路をさかのぼり、左右どちらのスリットを通過したかを明らかにできる場合があること、また、経路情報が不足し通過スリットを同定できない場合にのみ干渉縞が観察されることを確認した。二重スリットを通過して干渉した電子を分類する究極の実験「which-way experiment」への手がかりを得たといえる。

同研究は、日本応用物理学会誌「Applied Physics Express」のオンライン版(1月6日付)に掲載された。