2021年02月08日
理研、タンパク質の柔らかさを予測する手法開発
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:理化学研究所

理化学研究所、京都大学、横浜市立大学、大阪大学の共同研究グループは、AI技術の一種である深層学習と分子動力学(MD)計算を組み合わせ、クライオ電子顕微鏡(cryo-EM)で計測される立体構造データのみで、タンパク質の運動性情報(柔らかさ)を直接抽出する新たな手法を開発したと発表した。

同研究の成果は、タンパク質やDNAなどの生体高分子の運動性を解析する新たなアプローチを提供するもので、生命科学の進展や医薬品開発への貢献が期待できる。

近年、cryo-EMの急速な発展で、巨大かつ複雑なタンパク質の立体構造が明らかになってきたが、それらの運動性を取得することは高度な計算や実験でも困難だった。

今回、共同研究グループは、このようなタンパク質の運動性を、cryo-EMの計測データのみで簡便・迅速に原子レベルで推定できる画期的なAI「Dynamics Extraction From cryo-EM Map:DEFMap」を開発した。

これによって、従来解析が困難だった生体高分子の運動性が明らかになった。今後、機能メカニズムに対する新たな知見の発見につながると考えられる。

またこの手法は、超巨大なウイルス粒子などにも適用できる。
同研究の成果は2月5日(日本時間)、科学雑誌「Nature Machine Intelligence」オンライン版に掲載された。


ニュースリリース参照
https://www.riken.jp/press/2021/20210205_1/index.html