2021年03月10日
ダイキン・ダイセルが協創加速 世界規模展開へ
【カテゴリー】:経営
【関連企業・団体】:ダイキン工業、ダイセル

ダイキン工業とダイセルの両社は10日、それぞれに有する専門分野での強みを生かした協創活動を加速し、新技術、新商品の開発につなげると発表した。

両社の交流は約20年前にさかのぼる。ダイキンが化学プラントにプロセス・イノベーションを図ろうと「ダイセル式生産革新手法」を導入したのがきっかけで、以来、技術交流を続けてきた。2016年からはさらに進んでダイセルの「材料技術」と、ダイキンが持つ「空調要素技術」の双方の強みを活かそうと、価値の高い商品の創出に取り組んできた。

この成果として、両社はこのほど換気機器向けの「透湿膜全熱交換エレメント」および大型空調機向けの「低圧力損失エアフィルタろ材」を共同開発した。


◆共同開発した技術の特長

(1)全熱交換器ユニット向け「透湿膜全熱交換エレメント」

 共同開発した「透湿膜シート」を換気装置「全熱交換器ユニット」の主要部品である全熱交換エレメントに採用した。従来の紙製シートの約1/3の薄さで、空気中の熱を効率良く移動させる性能を有する。この透湿膜は水蒸気を選択的に透過させる一方で、菌やウイルス、二酸化炭素など室内の空気を汚染する物質の遮断性を向上。洗浄や消毒も可能なため、清潔性を維持することができる。「透湿膜シート」とダイキン独自の技術である「対向流型フレーム構造」を組み合わせることで、全熱交換エレメント内部の空気漏れを大幅に低減した。

(2)大型空調向け「低圧力損失エアフィルタろ材」

 ダイセルの繊維技術を活用したナノファイバ複合素材によるエアフィルタろ材を共同開発した。このろ材は、繊維径が異なる複数の繊維を複合しており、従来品よりも集塵効率が向上した。また低い圧力損失で空調機を運転できるため、ファンの消費電力を低減し、省エネ性の高い運転が可能となった。さらに目詰まりがしにくい構造のため、従来のフィルタよりも交換周期を長くすることができる。今後はダイキンのグローバルでの商品化に向けフィルタろ材のラインアップを拡充する。


<ニュースリリース参照>
https://www.chem-t.com/fax/images/tmp_file1_1615363491.pdf