2021年04月01日
北大と三菱ケミ「低溶解性化合物の限界」解決へ
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北海道大学 大学院工学研究院の伊藤 肇教授らの研究グループは31日、三菱ケミカルと共同で、有機溶媒への溶解性が極めて低い不溶性ハロゲン化物に対する鈴木-宮浦クロスカップリング反応を開発したと発表した。

従来の有機合成反応は、有機溶媒を用いて溶液状態で行うのが一般的だが、有機溶媒に溶けにくい反応基質(反応の元となる物質)の場合は、反応の実施そのものが困難となる場合が多い。

この「低溶解性による合成の限界」は現代の有機合成化学の“ボトルネック”であり、合成することのできる有機化合物が大幅に制限されていることになる。

研究グループは今回、高温ボールミルを用いた合成手法により、有機溶媒への溶解性が極めて低く、今まで反応基質として扱えなかった不溶性芳香族ハロゲン化物に対する鈴木-宮浦クロスカップリング反応に成功した。

これにより、従来の溶液状態で行う有機合成では合成できなかった新しい化学製品、医薬品、有機発光材料、有機電子材料などの開発が期待できる。

同研究成果は、米国化学会誌「Journal of the American Chemical Society」誌(3月31日付)に掲載された。