2021年08月05日
琉球大など「世界のメダカ科魚類」を網羅系統解析
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 琉球大、東北大、長浜バイオ大、農研機構など国内の13の研究機関とインド、ベトナムなど6カ国・7研究機関からなる計20の国際共同研究チームは、このほど、世界中からメダカ科魚類を収集し、網羅的系統樹の推定に成功したと発表した。

 ミトコンドリア全ゲノムと5つの核遺伝子の塩基配列の解析からメダカ科魚類のルーツに迫った。その結果、西インドの西ガーツ地方に固有のセトナイメダカ(Oryzias setnai)が、メダカ科魚類の系統進化の中で最も古くに分岐した種であり、その他の東南アジアや東アジアの種は、全てセトナイメダカと姉妹関係にあることがわかった。
 さらに、化石の情報を元にメダカ科魚類の分岐年代を推定したところ、セトナイメダカとその他のメダカの共通祖先との分岐は、7,400万年前(6,600~8,800万年前)の中生代後期に遡ることが明らかになった。
 
 この時代は、インド亜大陸がゴンドワナ大陸から分離して、インド洋を北上している時代と一致する。これは、この時代にメダカの共通祖先がインド亜大陸にいた、つまり、メダカ科魚類はインド亜大陸に起源することを意味している。そして、インド亜大陸がユーラシア大陸に衝突・合体した後に、メダカ科魚類はアジアに分布を拡大していったと考えられる。最尤法を用いた祖先分布域の推定でも、メダカ科魚類はインド亜大陸起源で、その後アジアに分布を広げていったというシナリオが支持されたことになる。


<用語の解説>

◆西ガーツ地方:インドの西海岸沿いにある、標高1,000~2,700mの山々が全長1,600kmにわたって連なる山脈(西ガーツ山脈)と、その西側の平野部を含む地方。

◆最尤法(さいゆうほう):数理統計学において、与えられたデータから、それらが得られる確率分布の母数を推定する手法。


ニュースリリース参照
https://www.tohoku.ac.jp/japanese/newimg/pressimg/tohokuuniv_press20210802_03web_medaka.pdf