2022年03月17日
京大、寒くなると温度を上げようとする細胞の機構発見
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:京都大学

動物は、活動に適した温度になるように、体温を様々な方法で調節している。では、生命の最小単位である個々の細胞も自身の温度を環境温度の変化に応じて調節しているのだろうか。その疑問に対する答えは得られていなかった。

 京都大学大学院工学研究科の村上 光助教らの研究グループは16日、変温動物であるショウジョウバエの細胞の温度を測定することにより、環境温度が低下すると、細胞は自ら温度を上げようとすることを発見したと発表した。
 
 この温度の調節は、細胞自らが温度の変化を感知して細胞を構成する脂質分子の形を変化させることで達成されていた。さらに、今回見つけた細胞の温度調節に関わる役者は哺乳動物をはじめとした幅広い生物に存在していた。同研究により「寒くなると細胞は自ら温度を上げようとする」という新たな温度調節機構が見出された。
 本研究成果は3月16日に国際学術誌「Cell Reports」に掲載された。

<用語の解説>
◆細胞内温度計 :本研究で用いた細胞内温度計は蛍光性の分子で、蛍光特性が周囲の温度に依存して変化する。FPT は合成高分子型の温度計であり、周囲の温度上昇に対して鋭敏に構造を変化させ、蛍光寿命が長くなる性質を持つ。また、タンパク質型の温度計である tsGFP1-LP は特定の細胞内小器官への局在化が可能であり、2 種類の波長で励起した際の蛍光強度の比が周囲温度に応じて変化する。

ニュースリリース参照
https://www.t.kyoto-u.ac.jp/ja/news/topics/research/zcfe60/2ak5lo.pdf