2022年04月22日
北大・帯広畜産など「防災と淡水動物保全の両立を」
【カテゴリー】:環境/安全
【関連企業・団体】:北海道大学

 北海道大学大学院の中村太士教授(農学研究院)、帯広畜産大学の卓美助教(環境農学研究部門)らの研究グループはこのほど、「国内の淡水生物保全のためには、現在の取り組みだけでは不十分で、新たな保護区の在り方を検討することが求められる」とする調査結果を発表した。
 
 日本の主要河川に生息する魚類 300 種と底生動物 1500 種を対象に調査した。すべての種を維持するために必要な最小の優先保全候補区域を検討したところ、既往の保護区のみではほとんど種の保全・保護ができないことが分かった。

 近年、保護区など自然生態系がもつ防災・減災機能は、Eco-DRR もしくはグリーンインフラと呼ばれ、気候変動適応策の一つとして期待されている。特に、アジア地域では、温暖化に伴う洪水頻度や規模の増加が予測されており、我が国でも大規模洪水に対する適応策が求められている。もし、洪水リスクが高い場所と、淡水動物を保全するために必要な場所が重なっていれば、防災・減災を目指した対策を講じる中で、同時に我が国の淡水動物も保全できる可能性がある。だが、これまで防災と淡水生物保全を同時に達成する施策については、あまり検討されてこなかった。

 本研究は、魚類や底生動物といった淡水生物を全国スケールで保全していくうえで重要な地域の多くが、今後洪水時に浸水しやすい地域と重なること世界で初めて実証した。

 優先保全区域の候補地のおよそ半分は、人が多く居住し、かつ、洪水リスク(浸水リスク)が高い区域に分布していた。

 以上から、国内の淡水生物を保全していくには、人の生活圏での取り組みが不可欠であり、今後、多発することが予想される大規模洪水の適応策に水生生物の保全対策を組み込むことが、人と淡水動物の良好な関係を築く道筋の一つであることを明らかにした。
 同研究の成果は国際保全生物学会誌「 Diversity and distributions 」電子版に4月18日掲載された。

ニュースリリース参照
https://www.hokudai.ac.jp/news/pdf/220418_pr2.pdf