2022年07月15日
京大、木の中にメタンガスのパイプライン?
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:京都大学

 メタンガスは空気中にもごくわずかに存在する気体で、地球温暖化に強く影響する。空気中のメタンの発生源の一つが湿地で、近年、湿地に自生する樹木から大量のメタンが空気中へと放出されているといった報告が相次ぎ、学界でも「本当に樹木からメタンが出ているのか。どのようなメカニズムによるのか」と、大きな論争が起こっている。

 京都大学 生存圏研究所の高橋けんし准教授らの研究グループは15日、先進的な大気環境の分析技術を樹木の計測へと応用することにより、湿地性樹木の一つであるハンノキの幹から大量のメタンが放出されていることを突き止めたと発表した。
 
 また、春から秋にかけての葉っぱがついている着葉期間には、メタンの放出量が昼間に増え、夜間に減るという、不思議な日変化パターンを示すことも明らかにした。
 
 さらに、クライオ走査型電子顕微鏡(cryo-SEM) 法とよばれる手法を用いて、ハンノキの根を細かく観察したところ、細い根の細胞や細胞組織の間に、水のないミクロな“隙間”があることを発見した。
 
 この隙間は、根の中でパイプラインのような役割を果たし、根から幹へとメタンガスが輸送される道筋の一つになっていると考えられる。同成果は7月15日に英国の国際学術誌「New Phytologist」にオンライン掲載された。
 
<用語の解説>
◆メタン生成菌 :湿地を含む広範な土壌中に存在し、水素や二酸化炭素を基質としてメタンを合成する。地球の大気中に含まれるメタンの重要な源となっている。土壌のほかにも、深海堆積物や一部の動物の消化器官にも存在する。
 
ニュースリリース
https://www.kyoto-u.ac.jp/sites/default/files/2022-07/220715-press-a0f1a4d827e39d5e0859296530f1a6d9.pdf