2022年07月29日
東大・産総研、海底面下を透視する技術を開発
【カテゴリー】:行政/団体
【関連企業・団体】:産業技術総合研究所

 東京大学大学院 新領域創成科学研究科の水野勝紀准教授、産総研の清家弘治主任研究員らの研究グループは28日、深海の堆積物中に生息する底生生物の分布を非接触・非破壊で効率的に調査できるツールを開発したと発表した。
 
 海洋研究開発機構の有人潜水調査船「しんかい6500」を用いて、静岡県・相模湾深海(水深851-1237 m)でその実証試験に成功した。

 海底面下に生息する埋在性生物の調査はこれまで、サンプリングによる手法が用いられてきたが、採取効率の悪さや、その場での観察ができないなどの課題があった。特に深海の場合は情報も限られていた。
 
 今回、高周波の超音波を利用する新しい調査ツールを用いて、埋在性生物の分布を3次元的に非接触・非破壊で効率的に調査でき、これまで把握が困難だった埋在性生物の分布・生態を明らかにした。
 
 従来の調査手法では不可能だった埋在性生物分布の現場観測に世界で初めて成功した。
 今後、関連研究が飛躍的に進むと期待される。将来的には、資源・エネルギー開発や気候変動が底生生物に与える影響の把握や物質循環の理解、水産資源の分布調査などにも応用する予定だ。
 本研究成果は、英国科学雑誌「Scientific Reports」(2022年7月27日)に掲載された。

ニュースリリース
https://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2022/pr20220727/pr20220727.html