2023年03月15日
北大、多彩な色調・発光を示す柔軟な分子開発
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:北海道大学

北海道大学理学部の石垣侑祐准教授らの研究グループは14日、極めて柔軟で複数の構造を発現可能なキノジメタン型分子を合成し、結晶中の分子構造により結晶の色調や発光が劇的に変化することを明らかにしたと発表した。

炭素=炭素(C=C)二重結合は通常平面構造を示すが、大きな置換基を周囲に導入することで折れ曲がり構造やねじれ構造といった複数の構造をとる場合がある。これらの分子構造によって物性(色調や発光特性)が変化することが知られているが、複数の構造を取り出し評価することは困難だった。

研究グループは、C=C二重結合周りの構造変化が自由に起こるような分子を設計することで、様々な分子構造とそれに基づく物性を取り出すことが可能と考え、柔軟なキノジメタン誘導体を設計、合成した。その結果、結晶化の溶媒を変えることで結晶中の分子構造が大きく異なることを見出し、それにより結晶の色調や発光特性が多彩に変化することを明らかにした。

今回、わずか 5 種類の溶媒の組み合わせで分子構造や色が異なる 9 種の結晶を与えることを発見した。

これらの色調変化は構造に由来するため、結晶の色から分子構造を推測することにも繋がると期待される。同研究成果は2月8日公開の「Materials Chemistry Frontiers」誌にオンライン掲載された。

(発表の詳細)
https://www.hokudai.ac.jp/news/pdf/230314_pr2.pdf