2023年04月20日
京大、「生態系を利用した全く新しいAI」発見
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:京都大学

 京都大学白眉センターの潮雅之特定准教授、東北大学農学研究科の福田康弘助教らの研究グループは19日、生態系シミュレーションと微生物培養系を用いた実験によって、生態系に存在するネットワークが計算能力(情報処理能力)を持ち、我々はその能力を利用しうる証拠を見つけたと発表した。

 近年、さまざまな分野でニューラルネットワークを用いたデータ解析法、いわゆる人工知能(AI)が盛んに開発・利用されている。これまでに数多くのニューラルネットワークが提案され、その計算能力が評価・利用されてきた。だが、生態系に自然に存在するネットワーク(例えば、食う-食われるといった種間関係)が計算能力を持っているのか、またそれらを我々人間が利用できるのかの研究は全く行われてこなかった。

 今回の研究で示された「生態系の計算能力」は、これまでに注目されなかった計算資源であり、発展著しいAI技術に新たな方向性を与えるものだ。また、高い生物多様性と高い計算能力に関連があることも示唆されており、これまで知られなかった生物多様性の新たな価値に光を当てるものとなる。
同成果は2023年4月19日に国際学術誌「Royal Society Open Science」にオンライン掲載された。

<用語の解説>
◆ニューラルネットワーク :神経の構造を模した人工的なネットワークで、多くのノード(節)をつないだような構造をしている。ノードの数やつなぎ方、または一定数のノードがつながった「層」の数は、データ解析の目的によって様々である。多くのネットワークが提案されているが、入力信号が一方向にしか伝播しないフィードフォワードニューラルネットワークと入力信号がループするリカレントニューラルネットワークの2種類に大別できる。

ニュースリリース
https://www.tohoku.ac.jp/japanese/newimg/pressimg/tohokuuniv_0419press_01web_ai.pdf