2023年07月28日
東大「人と犬に共通のがん転移メカニズム」世界初発見
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:東京大学

 東京大学大学院 農学生命科学研究科の西村亮平教授と東北大学大学院の加藤幸成教授らの研究グループは27日、人と犬のがんに共通した移転メカニズムを発見したと発表した。
 
 人と犬の粘膜に発生する悪性黒色腫において、ポドプラニン(PDPN)と呼ばれる膜タンパク質が高発現している患者の予後が短いことを発見した。

 PDPNによりアメーバのように自由自在に形を変えることで正常細胞の隙間をくぐり抜けられる転移能の高い細胞(アメーバ様遊走細胞)を生み出していることを明らかにした。

 本成果はPDPNが人と犬の悪性黒色腫に共通した転移メカニズムを制御しており、新たな治療標的として有望であることを示すとともに、人の悪性黒色腫と共通性を有する犬の悪性黒色腫が、がんの研究に重要な位置付けを有すること示した貴重な研究成果となった。
 
 人や犬が罹患する粘膜由来の悪性黒色腫は転移率が高く、予後が悪いといった悪性腫瘍の特徴を共通に示している。これまで転移を制御する詳細なメカニズムもよくわかっていなかった。
 
 今回成果はPDPNが人と犬の悪性黒色腫に共通した転移メカニズムを制御しており、新たな治療標的として有望であることを示すとともに、人の悪性黒色腫と共通性を有する犬の悪性黒色腫が、がん研究において重要な位置付けを有すること示した。

<用語の解説>
◆ポドプラニン(PDPN) :リンパ管やリンパ節などで発現し、細胞収縮などを担っている。種々の悪性腫瘍において過剰発現が報告されている。

ニュースリリース参照
https://www.tohoku.ac.jp/japanese/newimg/pressimg/tohokuuniv-press20230727_01web_dog.pdf