2023年09月22日
理研、転写の瞬間を撮影し生物学上の謎を解決
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:理化学研究所

 理化学研究所 生命機能科学研究センターの関根俊一チームリーダーは21日、「DNAの転写の瞬間を撮影して、生物学上の長年の謎の解決に成功したと」と発表した。

 生命の設計図、ゲノムDNAは糸巻きのようなタンパク質に巻き付いて、細胞の核の中にコンパクトに収納されている。DNAの中にある遺伝子を読み取るときにはDNAを糸巻きから外す必要があるが、外した後の糸巻きがどうなるかは謎だった。関根リーダーらの研究グループは、外れた糸巻きが元通りになるまでの一連の過程を撮影することに成功し、この謎の解決に導いた。

 ヒトの細胞の中にある染色体46本分のDNAを全部つなぐと、約2メートルの長さになる。DNAは「ヒストン」というタンパク質に2周ほど巻き付いて「ヌクレオソーム」という小さな構造をつくる。膨大な数のヌクレオソームが数珠つなぎになったものが「クロマチン」となる。クロマチン構造は、長大なDNAを小さな核の中に収納する仕組みであるとともに、DNAのどの部分をいつ働かせるかということを制御する重要な機能を担っている。

 RNAポリメラーゼが転写を行う際には、ヒストンは一度DNAから外れる。ただ、外れたヒストンはまた同じDNA領域に結合しないと、エピジェネティクスの仕組みを維持できない。そのため、外れたヒストンを元通りにする何らかの仕組みがあるはずだが、その仕組みは長年、不明だった。

 関根 チームリーダーらの研究グループは2022年8月、転写の際にヌクレオソーム構造が一度解体されたり、元通りに復元されたりする一連の過程を「撮影」することに成功した。

ニュースリリース参照
https://www.riken.jp/press/2022/20220819_1/index.html

◆関連ファイル
https://www.riken.jp/press/2022/20220819_1/index.html