2023年11月29日
北大、南極の氷河期決壊洪水跡発見
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:北海道大学

 北海道大学低温科学研究所の波多俊太郎特任助教らの研究グループは28日、日本の南極地域観測隊が1960年代から行ってきたデータの収集や解析によって、昭和基地周辺の氷河湖における60年間の水量変動が明らかになったと発表した。

 それによると、南極氷床縁辺に位置する湖(神の谷池)で、1969~1971年と2017年に氷河湖決壊洪水が生じたことが分かった。氷河湖決壊洪水を発見した。
 
 南極の氷河湖での氷河湖決壊洪水の繰り返しが確認されたのは今回が初めて。これによって50 m以上の湖面低下、7,000万立方メートル以上の排水量が見積もられ、南極の氷河湖決壊としては最大であったことが判明した。さらに2017年の決壊イベントは南極の冬季に発生しており、冬季にも氷床底面水文環境が活発である可能性が示唆された。

 神の谷池の位置する宗谷海岸は、日本の南極地域観測隊が拠点としている地域。研究グループは、長期間にわたって南極地域観測隊が蓄積してきたデータに最新技術を適用することで、南極では稀有な氷床縁辺湖の変動記録の構築に成功した。本研究は、様々な環境における氷河湖決壊洪水やアクセスの難しい南極氷床底面の水文環境研究について、貴重なデータを提供するものとなった。
同研究成果は、2023年11月27日付の「Scientific Reports」誌にオンライン掲載された。