2023年12月05日
東北大、織田信長の薬草園は日本の在来種
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:東北大学

 東北大学、滋賀県立大学などの共同研究グループは5日、伊吹山(滋賀県)に分布するイブキノエンドウが日本の在来種であることを解明したと発表した。

 伊吹山には、南蛮人宣教師が織田信長の許可を得て、当時開いた薬草園が存在していたという伝説がある。
 イブキノエンドウは、ヨーロッパからユーラシア大陸にかけて広く分布するマメ科植物だが、日本での分布がほぼ伊吹山に限られていることから、戦国時代(16世紀)に宣教師が持ち込んだものと伝えられてきた。

 イブキノエンドウは北海道にもわずかに分布しているが、これらは伊吹山とは別の経路により明治初期に牧草にまぎれて海外から持ち込まれたと考えられていた。

 研究グループは今回、伊吹山および北海道でイブキノエンドウを採取し、さらに、ドイツおよびロシア産の標本に由来するゲノム DNA を入手し、遺伝子の配列と次世代シークエンサーを用いたゲノム解析に基づいて、これらの植物の移入経路を調べた。

 その結果、日本のイブキノエンドウは在来種であり、伊吹山に 16 世紀にヨーロッパから持ち込まれたという従来の説は否定された。伊吹山と北海道のイブキノエンドウは貴重な地域集団であることも明らかとなった。
(以下、ニュースリリース参照)

ニュースリリース
https://www.tohoku.ac.jp/japanese/2023/cate_press/