2023年12月18日
東レと三井海洋「CFRPパッチ工法」共同開発
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:東レ

 三井海洋開発と東レの両社は18日、三井海洋開発が設計・建造し、その後のオペレーション&メンテナンス(運転・保守点検)サービスを提供するFPSO(浮体式海洋石油・ガス生産貯蔵積出設備)およびFSO(同積出設備)向けに、「CFRP(炭素繊維複合材料)パッチ工法」を共同開発したと発表した。
 すでに最大径300㎜の局所腐食損傷部への補修法として、米国船級協会(ABS)承認を取得済みで、2024年からの実適用開始の予定だ。

FPSOおよびFSOの保守は、洋上で石油やガスの生産を行うため、資材と機材搬入が容易で火気工事を伴わない工法の開発が求められてきた。両社は、2020年に「現場VaRTM(真空含侵)工法」を用いた補修技術を共同開発し、ABS承認を取得した。だがこの方法は広範囲の腐食補修に強みがある一方で、点在する局所的な腐食の補修が課題だった。

 「CFRPパッチ工法」は、あらかじめ製作したCFRPパッチ平板を局所腐食の上から接着させるのみの簡易な工法で、工事に関わる人数・時間を約半分に減らすことが可能となる。また、真空ポンプ等の設備が一切不要で、補強材や施工道具の搬入も容易。さらに火気工事を伴わないため、補修工事が石油やガス生産に与える影響の最小化が期待できる。

 両社は今後、広範囲の補修が強みの「現場VaRTM工法」と、局所の補修を強みとする「CFRPパッチ工法」をFPSOおよびFSOの腐食状況によって使い分けることで、現場ニーズに広く対応していく方針だ。


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