2024年01月17日
東北大、抗炎症薬に似た分子の医薬可能性検証
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:東北大学

 東北大学大学院 薬学研究科の岩渕好治 教授らの研究グループは16日、抗炎症薬に似た分子の医薬応用可能性を検証したと発表した。筑波大学と共同で、立方体型炭化水素であるキュバンの構造異性体として知られる、楔型炭化水素であるクネアンのメタ置換ベンゼン生物学的等価体としての応用可能性について検証した。

 近年、創薬の研究では、より優れた低分子医薬品などの開発を可能にするために、特定の分子構造・官能基と構造的に類似している上に、同等の生物学的応答を有する構造単位(生物学的等価体)が注目されている。
 特に、医薬分子に遍在するベンゼン環の生物学的等価体として、ベンゼン環と同様に柔軟性の少ない三次元的構造を有する炭化水素類が提唱されている。

 具体的には、抗炎症薬ケトプロフェンのクネアンアナログの合成に成功し、その生物活性試験およびインシリコ解析により、クネアンの生物学的等価体としての妥当性を評価した。その結果、100分の1程度ではあるものの所望の生物活性を維持することが分かった。適切な対象医薬品および薬効を選定することで、クネアンが新たな生物学的等価体として利用できる可能性を示唆した。今後の創薬科学研究の進展への寄与が期待できる。
本研究成果は1月12日、欧州化学会の国際誌「 Chemistry--A European Journal 」に掲載された。
 
(詳細) 
https://www.tohoku.ac.jp/japanese/newimg/pressimg/tohokuuniv_press0115_02web_cuneus.pdf