2024年07月10日
理研・北大、冬眠の仕組み数理モデルで解明
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:理化学研究所

 理化学研究所 数理創造プログラムの儀保伸吾特別研究員、北海道大学低温科学研究所の山口良文教授らの国際共同研究グループは9日、冬眠を行う哺乳類に見られる大きな体温変動の背後に、信号の周波数を変化させて伝えるFMラジオのように周波数(体温の周期変動)を変化させる仕組みが存在することを発見したと発表した。

 哺乳類の中には、食料が限られ気温が低下する冬季を生き延びるために、冬眠を行う種がいる。冬眠中の体温は、環境温度近くまで低下するが、この低温状態が冬眠中ずっと継続するわけではなく、環境温度に近い低温と通常の体温の間を何度も変動する。この大きな体温変動は冬眠の重要な部分だが、その生理学的な意味や制御のメカニズムは十分に理解されていない。

 研究グループは、長期かつ高解像度の体温データセットに対応する数理モデルを探索することによって、冬眠中の大きな体温変動が短い周期(数日)と予想外に長い周期(数百日)の相互作用によって支配されており、そうした周期の変動(周波数)が徐々に変化していくこと(周波数変調)を発見した。

 この結論はシリアンハムスターとジュウサンセンジリスという異なる2種類の冬眠動物について導かれた。これは複数の冬眠動物において、冬眠中の大きな体温変動の背後に「周波数変調」というシンプルで共通の原理が存在することを初めて示した成果となる。
 本研究成果は英国の科学誌「npj Biological Timing and Sleep」オンライン版(7月2日)に掲載された。
 
ニュースリリース参照
https://www.hokudai.ac.jp/news/pdf/240709_pr2.pdf