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2024年12月19日 |
名大など、テラヘルツ波のスピン流変換機構解明 |
【カテゴリー】:ファインケミカル 【関連企業・団体】:名古屋大学 |
名古屋大学工学研究科の森山貴広教授らの研究グループは、福井大学、東北大学、京都大学、東邦大学との共同研究で、反強磁性体磁化ダイナミクスから生じるスピン流の検出に成功し、これまで知られていなかった反強磁性体におけるスピンポンピング効果によるテラヘルツ波ースピン流変換現象の微視的機構を明らかにしたと発表した。 テラヘルツ波は「beyond 5G」などの大容量・高速通信を担う周波数帯の電磁波で、反強磁性体はその磁気共鳴周波数がテラヘルツ領域にあるため、テラヘルツ波に応答する磁性材料として注目されている。 森山教授らは、反強磁性体α-Fe2O3(酸化第二鉄/ヘマタイト)の二つの磁化ダイナミクスモードに着目し、それらのダイナミクスから生じるスピン流を検出することで、反強磁性体におけるスピンポンピング効果の発現機構を解明した。 同成果は、テラヘルツ技術とスピントロニクス技術を融合した「テラヘルツスピントロニクス」の核心であるテラヘルツ波ースピン流変換を実証し、その機構を解明した極めて重要なマイルストーンとなる。本成果で得られた反強磁性体スピンポンピング効果の理解を基礎として、応用上重要であるテラヘルツ波ースピン流変換効率向上を目指す研究への展開や、反強磁性磁化とスピン流の相注互作用物理のさらなる理解につながることが期待できる。 本研究成果は、12月18日付国際学術誌「Physical Review Letters」に掲載された。 <用語の解説> ◆スピンポンピング効果: 磁化ダイナミクスにより電子スピンの流れ(スピン流)が生成される現象。 ◆beyond 5G :移動体向けのモバイル通信規格「5G」(第5世代移動通信システム)の次の世代の通信規格。通信周波数としては 30~300GHz、所謂サブテラヘルツ~テラヘルツ帯が有望とされている。 ニュースリリース参照 https://www.tohoku.ac.jp/japanese/newimg/pressimg/tohokuuniv-press20241218_01web_tera.pdf |