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2025年01月27日 |
東レ、医薬品製造用の高効率分離膜開発 |
【カテゴリー】:新製品/新技術 【関連企業・団体】:東レ |
東レは27日、バイオ医薬品の製造工程に用いるための高効率分離膜モジュールを開発したと発表した。バイオ医薬品の製造の際の目詰まりを低減することで、従来製品と比較してろ過性能が2倍以上に向上し、バイオ医薬品の収率90%以上の精製度向上が期待できる。まず遺伝子治療薬製造の精製工程の用途に向けて、幅広い顧客に試作品を提供し、早期の上市をめざす。 近年、医薬品市場は従来の低分子医薬品からバイオ医薬品へのシフトが進んでいる。また、遺伝子治療薬等の新たなモダリティー(治療手段の種別)も上市されており、この傾向は今後も続くと予想されている。その一方で、バイオ医薬品製造にかかる高額なコストにより、医療費の高額化が大きな課題となっている。 遺伝子治療薬は培養細胞を用いて作られ、精製工程では培養細胞やその破片を含む培養液をデプスフィルターで粗ろ過し、次に、たんぱく質などの不純物を限外ろ過膜で除去している。この時に起こるデプスフィルターの目詰まりや限外ろ過膜への遺伝子治療薬の付着により、有効成分の目詰まりロスが発生し、高コスト化に繋がっている。 今回、同社が開発した分離膜モジュールは、複数種類の不織布を用いた粗ろ過膜(デプスフィルター)と、中空糸を用いた限外ろ過膜の2段階で構成。粗ろ過膜の開発には、エアフィルター製品の開発で得た技術を活用し、不純物を取り除くのに最適な繊維の太さや空隙構造の不織布にすることで、遺伝子治療薬の透過性能と、不純物の除去性能を高めた。さらに限外ろ過膜の開発には、人工腎臓の開発で培った中空糸膜を活用し、今回、タンパク質が吸着しにくく目詰まりしにくい膜を開発した。 <用語の解説> ◆デプスフィルター 限外ろ過膜などの分離膜モジュールの前?程として、ろ材の内部で異物を捕捉するフィルター。多層構造を持ち、ろ材全体で異物を取り除くため、目詰まりしにくく、長寿命化できる。化学工業や食品、医療分野で広く使用されている。 ◆限外ろ過膜(げんがいろかまく) 限外ろ過膜は液体から小さな分子を分離するフィルター。水分子などの小さな分子は透過し、タンパク質の凝集物や微生物などの大きな分子は捕捉する。水処理、食品、医療、医薬などの分野で利用されている。 ニュースリリース https://www.chem-t.com/fax/images/tmp_file1_1737956380.pdf |