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CHEMNET TOKYO

2025年02月13日
東北大、高い光安定性を持つDNA製蛍光標識FTOB開発
【カテゴリー】:行政/団体
【関連企業・団体】:東北大学

 生命科学の研究や疾患メカニズムの解明には、タンパク質などの微細な動きをミリ秒単位で観察する高い時間分解能が求められる。既存のタンパク質標識は光安定性や明るさに限界があり、このような観察は困難だった。。

 東北大学学際科学フロンティア研究所の丹羽伸介准教授らの研究チームは12日、三重大学大と共同で、DNAを利用して作られた新しい蛍光標識「FTOB (Fluorescent-labeled tiny DNA origami block)」を開発したと発表した。DNAを活用し、光に強く安定した新しいタンパク質標識「FTOB」を開発した。

 このFTOBは、従来の標識に比べて光退色や点滅が起きにくく、ALSなどの神経疾患の原因となるタンパク質の動きをミリ秒単位という極めて高い時間分解能で少なくとも数十分の長時間観察することができる。
 
 また、FTOBは「DNAオリガミ」という技術を用いてブロックのように自由に組み替えられる設計になっており、細胞分裂のような生命現象や、アルツハイマー病やガンといったさまざまな疾患に関わるタンパク質の研究に幅広く応用できる可能性がある。
本成果は2月11日に学術誌「Cell Reports Physical Science」にオンラインで掲載された。

<用語の解説>
◆ DNAオリガミ
長い1本鎖DNA(主に7,000~8,000塩基)と多数の短い1本鎖DNA(数十塩基)から構成される、二次元・三次元のDNAナノ構造体。作りたい形状に合わせて、長い1本鎖DNAを一筆書き状に折りたたみ、相補となるように設計された短い1本鎖で固定することで、数十ナノメートルの構造体を作製できる。本研究では、この手法を用いて80塩基程度の1本鎖DNAを折りたたむことで、従来の10分の1程度のサイズである8.8ナノメートルのDNAナノ構造体を作製した。

ニュースリリース参照
https://www.tohoku.ac.jp/japanese/newimg/pressimg/tohokuuniv-press20250212_03_dna.pdf





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