2025年06月30日
三菱ケミ、乳酸菌「H・コアグランス」ブタ成長に有効
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:三菱ケミカル

 三菱ケミカルと(株)栄養・病理学研究所(本社:京都府綴喜郡、塚原隆充社長=INP)は30日、有胞子性乳酸菌プロバイオティクスであるHeyndrickxia coagulans SANK70258(H・コアグランス)が、ブタの腸管バリア機能の増強を介して成長成績を向上させることを明らかにしたと発表した。

 H・コアグランスは、一般的な乳酸菌と異なり、胞子を形成するため酸や熱に強く、菌が死滅せずに腸で発芽して増殖するという特性を有している。同社は、飼料価格高騰や各種の感染症など飼養管理を取り巻く諸問題に対するソリューションの提案を目指して研究を行ってきた。
 これまでに、ブロイラーにH・コアグランスによる腸管バリア機能の亢進作用が増体に寄与することが明らかになっている。今回、ブロイラーに次いで消費量が多いブタでも同作用が認められるか検討した。

 介入試験を実施したところ、H・コアグランスを摂取させたブタに、摂取させていないブタと比較して、日増体量の増加および飼料要求率の低下、腸管バリア機能の亢進と安全性が認められた。

 このことから、H・コアグランスの摂取が腸管バリア機能の亢進を介してバクテリアルトランスロケーションを抑制することで、ブタの増体につながる可能性が見出された。
 H・コアグランスに関しては、ヒト、魚類、畜産動物を対象として免疫機能・腸管バリア機能の強化、腸内細菌叢改善作用による健康増進等に寄与することが報告されており、さまざまな生物種に対して同作用を有する可能性が示唆されている。

 また一連の研究成果は、将来的な畜産動物に対する抗菌剤の使用量削減につながる可能性を示している。同社は、引き続き詳細なメカニズムを検証する。有効性についても評価していく方針だ。
 これらの研究成果は、5月28日「Frontiers in Veterinary Science」に掲載された。
  
ニュースリリース
https://www.chem-t.com/fax/images/tmp_file1_1751251531.pdf