2002年07月26日
薬食審、厚労相にフェロシアン化物の食添指定を答申
厚労省は8月始めに使用基準等を設けて指定の方針
【カテゴリー】:環境/安全
【関連企業・団体】:厚生労働省

 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会は26日、坂口力厚生労働大臣に対して「フェロシアン化物を食品添加物に指定して差し支えない」との答申を行なった。これは、去る7月11日に坂口大臣が同審議会に対して「フェロシアン化物を食品添加物として指定してよいかどうか」と諮問したことに回答したもの。
 
 指定しても差し支えないと判断したことについては、「フェロシアン化カリウム、フェロシアン化カルシウム、フェロシアン化ナトリウムのいずれも、ひとの健康を損なうおそれはないこと」を理由に挙げている。だだし、「指定に当たっては一定の使用基準および成分規定を設定することが適当」とも付け加えている。これを受けて厚生労働省では、8月始めに指定の措置を取る方針。
 
 フェロシアン化物を食品添加物に指定してよいかどうかを厚労大臣が同審議会に諮問したのは、わが国でフェロシアン化物が食添物質に指定されていないにもかかわらず、中国から輸入される食塩や菓子原料や食卓塩、さらにはノルウェーから持ち込まれるスモークサーモンなどに同物質がしようされていることが最近の調査で判明したから。
 しかし同物質は、国際的な専門家会議のJECFA(FAOとWHOの合同食品添加物専門家会議)において安全性が確認されていて、米国やEU諸国などで長年にわたって塩の固結防止剤として使用されている。
 
 このため、米国、カナダ、欧州委員会、豪州、タイの在日大使館から同物質の輸入を禁止することがないよう申し入れがあり、また日本輸入食品安全推進協会からは、同物質を食添物として指定するよう要請が行なわれてもいる。
 
 今回の答申は、こうした点に加え、仮に同物質を禁輸した場合はわが国の食生活全体がただちに大きな混乱に陥ることも配慮してまとめられたものといえる。
 なお、新たに設けられる使用基準の概要は以下のようになると見られる。
 ▽フェロシアン化カリウム=食塩以外の食品に使用してはならない。使用量は、無水フェロシアン化ナトリウムとして食塩1キロにつき0.02グラム以下でなければならない。ただし同カルシウムおよび同ナトリウムの1種以上と併用する場合は、それぞれの使用量の和が同ナトリウムとして同0.02以下でなければならない。
 ▽フェロシアン化カルシウム=食塩以外の食品に使用してはならない。使用量は、無水フェロシアン化ナトリウムとして食塩1キロにつき0.02グラム以下でなければならない。ただし、同カリウムおよび同ナトリウムの1種以上と併用する場合は、それぞれの使用量の和が無水フェロシアン化ナトリウムとして食塩1キロにつき0.02グラム以下でなければならない。
 ▽フェロシアン化ナトリウム=食塩以外の食品に使用してはならない。使用量は、無水フェロシアン化ナトリウムとして食塩1キロにつき0.02グラム以下でなければならない。ただし、同カリウムおよび同カルシウムの1種以上と併用する場合は、それぞれの使用量の和が無水フェロシアン化ナトリウムとして食塩1キロにつき0.02グラム以下でなければならない。