2023年08月24日
三井化の超高分子樹脂、国立天文台望遠鏡レンズに
【カテゴリー】:行政/団体
【関連企業・団体】:三井化学

 三井化学は24日、子会社の作新工業(本社:滋賀県大津市、河内秀史社長)の主力製品である超高分子量ポリエチレン成形品ニューライトがこのほど、国立天文台(本部:東京都三鷹市) が参画する国際プロジェクトに使用されるアルマ望遠鏡の受信機のレンズ素材として採用されたと発表した。

 アルマ望遠鏡は、日本の国立天文台、米国国立電波天文台、欧州南天天文台を中心とする 22 の国と地域が協力して運用されており、南米チリの標高約 5,000mの高原に設置された直径 12mのアンテナ 54 台、直径 7mのアンテナ 12 台からなる世界最大級の電波望遠鏡。

 アルマ望遠鏡は 2013 年から本格運用 開始され、これまで惑星の誕生の現場や、生命の起源にも関連する多様な有機分子の存在などを観測してきた。

 アルマ望遠鏡は、35~950GHz の周波数(0.3~8.6mm の波長領域)を 10 帯域に分離して観測している。今回、ニューライトが採用されたのは、新しく搭載される「バンド 2」受信機(観測周波数 67~116GHz:2.6~4.5mm の波長領域)の光学系に使用するレンズ。

 電波望遠鏡のレンズは天体からの微弱な高周波電波を、できるだけ低損失で通すことが求められるほか、66 台のアンテナで光学性能を維持するための均一な材料物性、加えて約 5,000m という高地での運用に対応できる耐紫外線特性 求められる。ニューライトは、樹脂としてはトップクラスで高周波の電波を通す素材。
 作新工業は今回、これらの特性を生かし、耐紫外線性を更に高めたニューライトを提供することで国立天文台のアルマ望遠鏡プロジェクトに協力した。

【国立天文台・金子慶子氏のコメント】
 装置開発において、要求を満たす素材の選定は重要で大変な項目のひとつです。今回、作新工業様のご協力を得て様々な条件での物性評価をおこない、ニューライト 低損失、安定した誘電率、強い紫外線環境下に耐えうることを確認できました。今後このレンズを含む受信機での観測結果 楽しみです。
 
ニュースリリース 
作新工業製ニューライト、アルマ望遠鏡のレンズに採用
https://www.chem-t.com/fax/images/tmp_file1_1692846142.pdf

Saxin NewLight Adopted as Lens Material for New ALMA Receivers
https://www.chem-t.com/fax/images/tmp_file2_1692846142.pdf